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夏の終わりにフィンランドを再訪しました。
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今回の研究出張の目的は、日本ではあまり知られていないErick Bryggmanの作品の全貌を調査し、現存する作品を包括的に辿ることです。この夏期住宅は、Turku近郊Kustöの西海岸Långoattnet水域を眺望する場所にあります。建築家の友人を伝に出会ったAnne Jarva女史の粋な計らいで思いがけなく見学が可能になりました。この地所は、西は水際に接し、東は耕地に面して傾斜をなしていて、昔、氷河が流して来た無数の標石が独特の景観を形成しています。凹凸の激しい標石に区切られた敷地に建物を配置するのが困難であったことから、必然的に幾つかのブロックに分散配置になったのだと類推します。Bryggmanは当初直角に配置していた居間のブロックと個室群のブロックを美しく古木になった二本のカシワの巨木を保護する為に94度に振って納めたということで、地形と景観に合わせて、少しずつ角度とレベルを変え、リズムを持った有機的な配置が秀抜です。
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現在のオーナーは当時の建築主、副地方裁判長Autti Nuuttila氏の令嬢夫妻です。建設当時のまま大切に住み続けておられ、優しい眼差しで語られる建築のディテールひとつひとつが深い思い入れに溢れていました。
2012年9月5日