文豪ヘルマン・ヘッセは後半生、執筆に費やす以外の時間はほとんど自分の庭で過ごしました。
ヘッセは50才を過ぎて自分の家と庭を持ちました。老化と共に眼や頭の痛みによって長時間の著述が出来なくなり、心理的な気分転換も必要でした。麦藁帽子と野良着を纏い、籠を背負って花木を育て野菜を植え、庭仕事に没頭します。
著作の中で「土と植物を相手にする仕事は、瞑想するのと同じ様に、魂を開放させてくれるのです。」と語っている様に、世間の風評から離れ反復する自然との交わりの中に身を置くことで、一時の平静を得たのでしょう。ヘッセの質朴な人生観と自然観溢れる詩文の断章が催眠術の様に私の脳裏を包み込んでいます。