Shonai Visit

 先日、羽黒山五重塔の内部特別拝観を軸に、酒田・鶴岡周辺の建築・史跡巡りをしてきました。

 庄内地方が米の一大産地になったのは、肥沃な土壌と豊富な水源、日照時間の長さという気候条件にありました。1893年、山居倉庫は酒田米穀取引所の付属倉庫として開設。温度管理や防災のため、屋根も壁も二重被膜になっています。

 本間氏別邸庭園は鳥海山を借景とした池泉回遊式庭園。この地の人々にとって周囲の山への眺望は、ことさら重要な要素で、古くから仰角の低い山姿を正面にフレーミングする「山当て」という手法で町割りがされてきました。

 出羽三山詣では、羽黒山は現世、月山が前世、湯殿山が来世を表し、羽黒修験は死と再生を意味する修行として知られています。国宝・羽黒山五重塔を内部拝観出来るのは150年ぶり。随神門から参道を通って、長い石段を進むと樹齢300年以上の森厳な杉木立の中に五重塔はありました。心柱は心礎下に仏舎利を奉安し、その上に立てるのが定石ですが、この塔では初重天井に立てられています。

 飯盛山にある二つの美術館は、時間の経過をゆったりと受入れて、謙虚に周辺の風景と調和しています。

 土門拳と森田茂、共にダイナミックで重厚な作風。両巨匠の作品の感興から出立した、凄みのようなものを再認識。身の引き締まる思いでした。